知っておきたいイギリス英語


イギリス英語では、アメリカ英語で使われている単語とは違う単語がたくさんあります。


その最たる例が「football」(アメリカでは「soccer」)ですよね。


アメリカ英語とは違うイギリス英語の単語の中で、現地観戦時にも聞いたり使ったりすることが多いものを下にご紹介します。



1. lift(エレベーター)


空港や駅ホテルの案内板に「Lift」や「Lifts」という文字をよく見ると思います。イギリス英語でエレベーターのことです。

エレベーターの場所を聞きたいときは、「Where is the lift?」と聞いてください。


イギリスの空港や駅のエレベーターは、下の写真のように、日本だったら貨物用にしか使わないような無機質なメタリックのエレベーターであることが多いです。

また、イギリスでは1階を「Ground Floor」と呼び、2階を「1st Floor」と呼びます。


エレベーターの行き先ボタンの1階(Ground Floor)は「G」と表記されていることもありますが、「0」と表記されていることもあります。


また、扉を「開ける」のボタンは必ずありますが、「閉める」のボタンはないこともあるので、行き先ボタンを押したら扉が自動的に閉まるまでしばらく待ってください。



2. chips(フライドポテト)


イギリス英語ではフライドポテトのことを「chips」と言います。フィッシュ&チップスの「チップス」はフライドポテトのことです。


フライドポテトのSサイズを注文する場合は、「One small chips, please.」と言います。


日本語で「チップス」というと「ポテトチップス」を連想しますが、イギリス英語では、「ポテトチップス」のことは「crisps」と言います。



3. take away(テイクアアウト)


ファストフード店やカフェでは店内で飲食するかテイクアウトにするか伝える必要があります。イギリスでテイクアウトは「take out」ではなく「take away」と言います。


店内で飲食するなら「Eat in, please.」とか「Eat here, please.」と、テイクアウトにするなら「Take away, please.」と言って」ください。



4. the bill(伝票、お勘定書)


イギリスで食事をするとき、パブやファストフード店やセルフサービスのカフェでは注文するときに支払いをしますが、席に案内してもらうスタイルのレストランでは、食事後に伝票をもらって支払います。


伝票は「the bill」と言います。食事が終わったら「Could I get the bill, please?」と言うと伝票を持ってきてくれます。


金額を確認したら、お店のスタッフがクレジットカード決済端末機を持ってまたテーブルに来てくれので、クレジットカードやApple Payで支払ってください。


「レストランでチップを渡す必要はありますか?」とよくご質問いただきますが、テーブル会計のレストランの場合、「サービス料」がすでに追加されていることがほとんどなので、チップを渡す必要はありません。


場合によってはクレジットカード決済端末機に「サービス料を追加しますか?」という選択肢があることもあります。その場合、追加したければ「YES」を、追加したくなければ「NO」を選んでください。



5. shirt、kit、jersey(ユニフォーム)


イギリスではユニフォームのことを「uniform」とは言いません。「shirt」、「kit」、「jersey」などと言います。


クラブストアでサードユニフォームがどこにあるか聞きたいときは、「Where can I find the third shirt?」と聞いてください。



6. jumper(セーター)


イギリスではセーターのことを「sweater」ではなく「jumper」と言います。


イギリスではクリスマスにダサい「クリスマスセーター」を着てクリスマスパーティーに参加するのが1980年代頃から流行し、今では習慣のようになっていますが、「ダサいクリスマスセーター」を「ugly Christmas jumper」と言います。


クラブストアでもクリスマスになるとこの「ugly Christmas jumper」を販売するので、クリスマス時期に現地観戦に行かれる方は探してみてください。



7. coach(電車の車両、長距離バス)


サッカーの文脈では「coach」という言葉はチームの「監督」や「コーチ」のことですが、イギリスでは電車の車両のことも「coach」と呼びます。


電車の切符を予約するときに座席指定をすることができるのですが、「Coach C」なら「C車両」です。


長距離電車には「Quiet Coach」という車両があります。「Quiet Coach」は静かに旅したい人のための車両なので、座席指定をするときに「Quiet Coach」を選ぶと、大声で話したり携帯電話で話したりする人がいないのでオススメです。「Quiet Coach」は「Coach A」であることが多いです。


「Quiet Coach」以外の車両を選ぶと、大声で話したり携帯電話で話したりする人がいる可能性があります。


「coach」は「National Express Coach」のように「長距離バス」の意味でも使います。



8. rubbish(ゴミ)


アメリカではゴミのことを「trash」と言いますが、イギリスでは「rubbish」といいます。


ロンドンーリバプール間を移動する電車のような長距離電車に乗っていると、大きなビニール袋(ゴミ袋)を持った職員がやってきて、「Any rubbish?」と聞いてきます。電車の中で飲食して、空になったペットボトルなどがあればそのビニール袋の中に入れてください。


ゴミ箱がどこにあるか聞きたいときは、「Where is the rubbish bin?」と聞けばOK。


リバプール市内では、住宅地やお店の外などでよく紫色のゴミ箱を見かけます。リバプール市がリバプール市のゴミ箱の色を決めるとき、リバプールファンとエバートンファンがケンカしないように、赤と青の中間の紫にしたそうです。

リバプール市内の土産物では、このリバプール市名物の紫色のゴミ箱の形のペン立てを売っているので、お土産としていいかもしれませんね。



9. You alright?(= How are you?)


リバプールの人は、挨拶をする時に「How are you?」ではなく「You alright?」と言います。「Yes, I’m OK, thank you.」と応えればOK。


その他、scarf(マフラー)、trainers(スニーカー)なども覚えておくといいでしょう。



10.「The Kop = リバプールファン」ではない

日本ではリバプールファンのことを「KOP」と言うのが定着していて、「KOPの友達に影響されて自分もKOPになりました」と言ったりしますが、現地ではそのような使い方はしません。


リバプールファンのことを「KOP」と呼ぶのは「現地のファンカルチャー」だと思っている方が多いかもしれませんが、実はこれは日本独自の日本のファンカルチャーです。日本だけでなく、中国や韓国でもリバプールファンのことを「KOP」と呼んでいるという情報をいただいているので、東アジアのファンに見られる現象なのかもしれません。


言うまでもなく、「the Kop」というのはアンフィールドの南側(バス通りのウォルトン・ブレック・ロード側)にあるゴール裏スタンドの名前です。


そして、スタンドの名前である「the Kop」という言葉が、そこで観戦するファンの「愛称」としても使われることは、ご存知の通りです。


下の「アンフィールド・ラップ」のツイートにある「... the Kop are singing your name.」という文は、「The Kopにいるファンたちがキミのチャントを歌っている」という意味で、当然ながら、「スタンドが歌を歌っている」ということではありません。

「The Kop」で観戦しているファンだから「the Kop」と呼ぶのであって、メインスタンドやケニースタンドやアンフィールド・ロード・スタンドで観戦しているファンのことは「the Kop」とは呼びません。


そのことは、下のHandmade Bannersさんのツイートを読んでいただけるとよくわかります。Handmade Bannersさんはメインスタンドに席を持っているシーズンチケットホルダーです。


そのため、フィルミーノのチャントの「the Kop」の部分を「the Main Stand」と言い換えてツイートしています。「the Kop」はあくまでthe Kopで観戦しているファンのことしか指さないからです。

同様に、グローバルファンのことを「the Kop」と呼んだりもしません。


あくまで「the Kop」で観戦しているファンだから「the Kop」なのであり、「the Kop」という言葉は、まるでスタンドと一体化しているかのようなファンの「集団」に対して、「集合名詞」として使われます。


「the Kop」と呼ばれるファンの多くは地元のシーズンチケットホルダーで、ホームの試合はほぼ全試合観に行くような人たちです。


そして、多くはもう何十年も「the Kop」で観戦している人たちです。


テレビで試合中継を観ていてもわかる通り、「the Kop」の歌声や声援は他のスタンドのそれと比べてひときわ大きく、その一体感は相手チームを圧倒します。


試合前にはハンドメイドの大きなフラッグやバナーが掲げられ、熱狂的な雰囲気が創り出されます。


試合中、座る人はいません。みな90分間立ちっぱなしです。


「自分たちは試合を観に来ているのではない。選手たちと一緒に戦いに来ているのだ」と彼らは言います。


伝統的に、同点弾や逆転弾のような試合を決定づける重要なゴールが「the Kop」側で決まることが多いのは、「the Kop」にいるファンたちが、まさに「12人目の選手」として「選手たちと一緒に戦っている」からこそだと彼らは信じています。


「The Kop」にいるファンは、リバプールファンの中でも「特別な存在」なのです。


現地のジャーナリストが「the Kop」という愛称を使うとき、そこには「12人目の選手」として選手たちと共に数々の奇跡を起こしてきた伝説的なファンたちに対する畏敬の念が込められているように思います。


また、ホームの試合は必ずアンフィールドで観戦している現地のリバプールファンたちの中でも、メインスタンドやケニースタンドで観戦しているファンは、「the Kop」で観戦しているファンたちに対して敬意や憧憬の念を抱いていることでしょう。


前述の通り、「The Kop」という言葉は、スタンドと一体化しているかのようなファンの「集団」に対して「集合名詞」として使われるため、「the Kop」で観戦しているファンの1人が「I’m a Kop.」のように単数名詞として使うことはありません。


フィルミーノのチャントの歌詞では「There's something that the Kop wants you to know」と、wantに3人称単数の「s」がついていることから「単数扱い」していますが、これは「the Kop」にいるファンの「集団」を「ひとつのまとまり」として見ているということであって、「the Kop」にいる大勢のファンの中の「1人」を指して「the Kop」と言っているわけではありません。英文法の話になりますが、「集合名詞」であっても、その集団を「ひとつのまとまり」として見るときには「単数扱い」します。

「The Kop」で観戦している個々のファンのことは、「Kop」ではなく「Kopite」といいます。


「Kopite」は、「長年the Kopで観戦しているファン」のことです。


現地のファンが「I’m a Kopite.」と言うとき、そこにはこれまで選手たちと共に数々の奇跡を起こしてきたことを誇らしく思う気持ちが込められています。


現地の「Kopite」たちに憧れる気持ちから、海外のファンが自分のことを「Kopite」と呼ぶケースも見聞きしますが、現地のファンが「I’m a Kopite.」と言うとき、そこには長年スタンドで選手たちと共に戦ってきたことを誇らしく思う気ちが込められていることを理解しておくといいでしょう。


「The Kop」とか「Spion Kop」という名前のスタンドは、アンフィールドだけでなく、イギリス中の多くのスタジアムにあります。


例えば、1989年にあの悲惨な事故が起きたヒルズボロ・スタジアム(シェフィールド・ウェンズデイの本拠地)の、事故が起きたスタンドとは逆側のゴール裏スタンドは「The Kop」というスタンドです(正式には「Spion Kop」)。

ヒルズボロ・スタジアムと同じシェフィールドにあるシェフィールド・ユナイテッドのブラモール・レーンにも「The Kop」というスタンドがあります。

イギリスで初めて「the Kop」(正式には「Spion Kop」)という名前のスタンドを有したスタジアムは、アーセナルの前身であるウーリッチ・アーセナルのマナー・グラウンドでした。

「The Kop」という名前がつけられているスタンドの特徴として、以下のようなことが挙げられます。


 ・最前列から最後列までがひとつづきになった一層式のスタンドであること

 ・かつては「テラス」と呼ばれた立ち見スタンドだったこと

 ・熱狂的なファンが多く、チャントを歌う歌声や声援がひときわ大きいスタンドであること


上記の通り、イギリス中に「the Kop」という名前のスタンドを持つスタジアムが今もあるのですが、その中で最も有名なのがアンフィールドの「the Kop」です。


1960年代にはBBCの番組で下のような映像が紹介されたこともあり、アンフィールドの「the Kop」は、ファンの歌声の大きさや一体感が圧倒的なスタンドとして知られているのです。

そのため、「the Kop」と言えば、誰もがアンフィールドの「the Kop」を、そしてそこで観戦するファンを連想します。


「『the Kop』といえばリバプール!」というイメージが定着しているのです。


「The Kop」という言葉が「リバプールファン」の同義語として、ときに(とくに海外のファンによって)拡大解釈されて使われることがあるのはそのためかもしれません。


ですが、上記の通り、「the Kop」というのはあくまで「the Kop」で観戦しているファンの「集団」を指して使う愛称であり、リバプールファンであれば誰でも彼でも「the Kop」というわけではないのです。


現地観戦に行って現地のファンと話す機会があったときに、「私はリバプールファンです」と言いたいときには、普通に「I’m a Liverpool fan.」、または「I’m a Liverpool supporter.」と言ってください。「I'm a Kop.」という英語は存在しません。


「リバプールの大ファンです!」と言いたいときは、「I’m a massive Liverpool fan.」とか、「I’m a huge Liverpool fan.」と言えば、リバプールのことが「大好き」な気持ちが伝わります。

リバプール・サポーターズクラブ日本支部(LSC Japan / OLSC Japan)

リバプール・サポーターズクラブ日本支部(LSCJ:Liverpool Supporter Club Japan)の公式サイトです。

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